AZNEYLAND 拡張型心筋症について

毎日新聞電子版
Mainichi Interactive
2003/11/3
拡張型心筋症:自己免疫疾患の可能性 京大研究班

 京都大大学院医学研究科分子生物学教室の岡崎拓助手と本庶佑(ほんじょたすく)教授らの研究グループが、心筋細胞でたんぱく質の抗体が作られてしまう免疫異常が拡張型心筋症を引き起こすことを、マウス実験で突き止めた。ヒトの拡張型心筋症は原因不明で、根治法は心臓移植しかないのが現状。同症が、自分の体を免疫機能が攻撃してしまう「自己免疫疾患」である可能性を示す研究成果で、発症の仕組みの解明や治療法開発につながると期待される。3日、米医学誌「ネイチャー・メディスン」で発表される。

同症は、心室が拡大し、血液を送り出す心臓の収縮力が低下する難病。動悸(どうき)、呼吸困難、不整脈などを起こす。ウイルス感染などの関与も指摘されている。
国内の患者は数万人と言われる。

研究グループは01年、免疫反応を抑制するたんぱく質「PD―1」を作れないマウスが、同症を起こすことを発見した。今回、マウスの心筋の表面に付着していた抗体を詳しく調べたところ、心筋細胞にある「心臓型トロポニンI」というたんぱく質に対する抗体と判明。この抗体を同症でないマウスに与えると、心臓が通常の約3倍に肥大し、やはり同症を起こすことが分かった。

さらに、抗体を心筋細胞に加えると、筋肉を収縮させる電気信号の異常が発生することが確かめられた。研究グループは、免疫機能が過剰に作用して抗体が作られ、心筋が収縮異常を起こし、心臓の力が弱まると推測している。

本庶教授は「拡張型心筋症の原因は、免疫だけでなく多くあると考えられるうえ、あくまでマウスでの結果だが、ヒトでも同じ抗体が原因とすれば診断や治療の可能性が開ける」と話している。
日本経済新聞電子版
Nikkei Net
2003/11/4
京大、拡張型心筋症の発症原因解明

京都大学医学研究科の本庶佑教授の研究チームは、重症の心臓病である拡張型心筋症が免疫機構の異常によって起きることを動物実験で突き止めた。免疫抑制剤などを使う新しい治療法に道を開きそうだ。

研究チームの岡崎拓・京大助手らは、心筋のたんぱく質を攻撃する抗体を人工的に作ってマウスに注射した。抗体は本来、病原菌などの外敵を攻撃するが、免疫機構に異常が起きると自らを攻撃してしまう。抗体を注入することでこの状態を再現した。
京都新聞電子版
2003/11/3
拡張型心筋症の発症メカニズム解明  京大 「タンパク質」を攻撃

原因不明とされる難病「拡張型心筋症」の発症原因とみられるメカニズムを、京都大医学研究科の本庶佑教授や岡崎拓助手らの研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。「心臓型トロポニンI」というタンパク質に対する抗体が心筋の収縮力を弱らせ、心臓の拡張を引き起こすという。新たな治療法開発の糸口として期待される。
米科学誌ネイチャー・メディシン電子版で3日、発表する。

本庶教授らは2001年、自己免疫疾患を防ぐ「PD−1受容体」が欠損したマウスが拡張型心筋症を起こすことを実験で確認した。ブレーキが働かないため、抗体が心臓の筋肉を外敵と勘違いして攻撃し、心筋症が進行するとみられるが、この抗体が何を認識して攻撃するのか分かっていなかった。

今回、拡張型心筋症になったマウスの心臓に沈着している抗体を調べたところ、心臓の筋肉収縮を調節している心臓型トロポリンIを認識して攻撃していることがわかった。実際、この抗体をマウスに注射すると、12週間で心臓が平均3倍(収縮期)になった。抗体が心筋の細胞に付くと、心筋収縮力が弱くなることも分かった。

岡崎助手は「今回はあくまでもマウスでの結果だが、人間でも同様の結果が確認されれば、ステロイドなどである程度治療が可能になるのでは。また、診断も容易になる」と話している。

▽拡張型心筋症
心臓が大きくなって血液を送る力が弱まる病気で、呼吸困難や不整脈などが起きる。
原因がよく分かっていないため根本的な治療が難しく、悪化すると心臓移植でしか救命できないとされる。厚生省(当時)の調査では、患者数は1999年現在で全国約1万7700人。

河北新報
2003/11/3
拡張型心筋症に免疫が関与 京大、発症の一因を特定

進行すると心臓移植しか根本的な治療法がない拡張型心筋症の発症に、心筋の正常な収縮を妨げる抗体がかかわっていることを、京都大の本庶佑(ほんじょ・たすく)教授(分子生物学)らがマウスの実験で確かめ、3日付米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)に発表した。

本庶教授らは、同じほ乳類であるヒトにもこの抗体があるのではないかとみて調べている。確認できれば新しい治療法につながる可能性がある。
拡張型心筋症の原因は不明だが、ウイルス感染や遺伝、免疫異常などが重なって発症すると考えられている。

本庶教授らは2年前に、免疫のブレーキ役が働かないマウスが拡張型心筋症を起こすことを確認。今度は、見つかった抗体を人工的に作成してマウスに注射したところ、心臓が肥大し、ヒトの拡張型心筋症に似た症状になり、試験管内の心筋細胞に抗体を加えると細胞の働きに異常が起こることも確認した。この抗体は心筋収縮を調整するタンパク質「トロポニンI」に取り付いて働きを妨げるとみられる。
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